リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】PTA会長のなり手がなければ大学教員を探す

行事がごっそりなくなる

 1月末に戻ってきた中国からの帰国留学生は2週間の自宅待機を経て無事に復帰したものの、その後の情勢変化の激しいこと。中国への渡航は見合わせるようにと大学本部から学生に通達され、そうこうしているうちに諸外国が日本からは来ないで状態に。というわけで、今週から台湾に短期留学する予定だったムスメは1ヶ月間暇になってしまいました。キャンセル料だけはしっかり請求がくるみたいで、非常に残念であります。

 講義が終わり、卒論・修論の発表も終わる3月は学会、研究会のシーズンなのですが、軒並みキャンセルに。なんだか締まりのない年度末になりそうです。

卒業式の行方は未定

 今のところ、京都大学では卒業式の取りやめは発表されていません。が、なくなる可能性があるとのことです。というわけで、修論・卒論発表会終了後の専攻内謝恩会で挨拶に立った教授が、「君たちの卒業式はなくなるかもしれないので、代わりにはなむけの言葉を。」と述べていました。この先生、小学校のPTA会長をしていたんですって。そのときに小学生相手に話した祝辞を、原稿を見ながら大学生にも話すという面白いことをされました。大学の先生って普段は原稿を見ながら話すことは皆無です。人前で話し慣れているので、緊張することもまずありません。だけど、小学校の卒業式は非常に緊張したと。無限の可能性が広がっている小学生に話すことを一言も逃すまいと聴いている保護者の目が怖かったそうです。確かに。変なことを言ったら、「○○君のお父さんの祝辞、非常識だった。」みたいな噂が全学区に広がりますもん。なので原稿を書いて読むというレアなことをしたらしいです。

 小学生に何を話したかというと、一日一日の積み重ねが将来の自分を作るから、毎日を大事に一生懸命生きていきなさいと。そして大学生には。小学校を卒業して10年もしくはそれ以上。一日一日を積み重ねた結果、今の君たちがいます。京都大学を卒業するのはほんの一握りです。でも、ここで終わりじゃないですよね。これからの一日一日も将来の自分を作るわけです。歩みを止めることなく前進してください、という激励の言葉がかけられました。文字にすると単純。だけど、大人が聞いても結構感動的でした。

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PTA会長に適した職

 そういえば、ラボの教授も小学校、中学校とPTA会長をやっていました。大学教員は時間の融通が利きます。テレワークが認められているわけではないものの、究極の裁量労働制のために、1秒でも出勤すればOK。人前でしゃべるのは苦手でないし、共同研究で企業や他大学の人たちとプロジェクトを遂行する経験も積んできています。PTA会長なんか余裕でこなしますよ、きっと。自営業者とか、市議、自治体職員が選ばれやすい傾向にありますけど、なり手がいなくて、困っているのであれば大学教員を探しましょう。

 そういう私も、幼稚園兼保育園の保護者会会長とか地域の子供会会長とか長のつくボランティアをたくさん経験しました。人とのつながりが広がったり、子どもの様子がよくわかったり、いいこともあります。そして、非常時には貴重な情報源が増えることになります。役員を引き受けることになったら、嫌々するよりは積極的に関わった方が楽しいと思います。

今日のひとこと:PTA役員はやってみると世界が広がる