リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】卒論・修論発表を1週間後に控えたラボ内の様子

理系学生たちの追い込み

あんまり更新できていない間も訪問いただき、ありがとうございます。

 めっさ忙しいです、この時期。文系の学生たちが早くも卒業旅行だのなんだのと浮かれている1月2月は、理系の学生たちは寝る間も惜しんで研究を進めています。12月まではふらっと海外旅行に出かけたり、しばらく引きこもっていたりする学生たちも、年末のゼミで「お前は一体何をやってきたんや?」とボコボコにされて、目覚めます。今年は無事に全員本気モードになったので、俄然面白くなってきました。1年または2年かけてためてきた実験データをどう解釈するか、まだ実験をするとしたらどんな条件がいいのか、解析方法、分析手法は何を使うのか、仮説と違った結果から何が言えるのか、検討することが山ほどあります。研究は基本一人で進めていくのですが、議論の場はみんなに開かれていて、この時期は、毎日誰かがラボ内で発表をしています。上下関係は全くなく、これをやってみたら面白くないか、こんな解釈はできないかと、本番の発表に向けてラボ内総力戦での議論が繰り広げられています。今年卒業・修了するのは11人で、毎日3~4人が一人2時間くらいかけて議論をすると、それだけで一日が終わってしまいます。もちろん他にもすることはてんこ盛りで、気がつけば夜9時。帰んなきゃとあわてて帰る、私もそんな日々です。

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追い込みが始まってからの日常

 年が明けてからは、3日に1回くらいしか家に帰らない学生が複数でてきます。分析装置がフル稼働になるので、待ち時間の少ない夜中に活動する学生がいます。ソファーベッドではいつも誰かが倒れています。椅子を並べて寝ている、床で寝ているなんてこともあります。ゴミ箱は、リポビタンDやらアリナミンVやらの空き瓶だらけ。ちなみに、栄養ドリンクの効果は一瞬で、飲み過ぎると胃がしんどいというのは、彼らの体験談。糖分がなくなると本当に頭が働かなくなるから、そんなときはコーラで補給がお勧めだとか。こんな時期に手を骨折した4回生は、先輩を使って実験をしていますし。修羅場っていても、夜になるとデスカッションデスクは雀卓と化すという。まさにカオスです。自分の息子や娘がそんな生活をしているだなんて、親は思っていないでしょうね。非常にたくましいです。

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かけた愛は返ってくる

 人口密度が一番高いこの時期に、私はお誕生日を迎えまして。って毎年なんですけど。テンパっていても、メンバーが変わっても、毎年欠かさずお誕生日会を開いてくれる彼らに感謝です。そして、卒業してからも連絡をくれたり、顔を見せにやってきたりする卒業生たちが可愛くて仕方がないのであります。

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今日のひとこと:極限まで頭を使う経験を積める場が大学にはある