リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】準備に時間をかけると成功率が上がる

大学生の年賀状率

  研究室に配属されている学生たちは、年末ゼミが終わるとバラバラと地元へ散っていきます。一方、学部生たちは28日まで講義があるため、年末ギリギリまで拘束されます。珍しく研究室に学生がいて、「何をしているのだろう?」とのぞき込むと、干支の絵も何もかも全て手書き‼の年賀状を書いていました。私の周りでは、先輩学生たちが、「お世話になっている研究室スタッフの皆さんには年賀状を書こう。」と下級生に呼びかけるため、1枚も書かない学生はいないと思われます。でも、彼らに何枚書くのか聞いたところ、「4枚」と、研究室スタッフの数ピッタリでした。今どきの学生は、LINEで新年のあいさつを済ませるので、ほとんど年賀状を書かないみたいですね。50枚だしたムスメは突出しているかもしれません。

料理も実験の一部

  私は28日の仕事納めまでは年末感なく全力疾走です。休みに入ってゆっくりできるわけもなく、29日は大掃除とお正月の買い出し。30日朝から31日の昼頃までみっちりおせち作りです。おせちは品数が多いため、限られた数の鍋やボウル、コンロの回転を考えながら頭の中で効率の最適化を図っています。できあがったときには洗い物まで終わっているように、流しの中に物をためないことにも気を配っています。

 料理は実験と同じだと思いませんか。原料を量って容器に入れて混合し、加熱したり冷却したりして反応させると、生成物が得られます。できあがったものが食べられるという素晴らしい点を除いて、料理は実験とほぼ一緒だと思いながら毎日包丁を握っています。常にどうやったら早く正確にできるかを考えているので、手際いいですよ。昨日作った料理の一部はこちら。

 

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実験は段取りが全て

 「伝え方が9割」とか「見た目が9割」とありますが、実験に関しては段取りが10割です。実験を始める前に、実験が終わるまでの時系列を紙に書いて、頭の中でもシミュレーションを行っておかなければなりません。実験中にあたふたしていいことは何もありませんし、場合によっては危険です。

・必要な原材料、装置、実験器具、防護品を過不足なくそろえる

・装置に不具合がないかを確認する。

・温度と圧力設定を確認し、頭にも入れておく。

・原料供給を止めたり切り替えたりするタイミングを確実に把握しておく。

・起こりうる異常事態を想定しておく。

 成果がでるかどうかは別として、実験の成否は段取りで確実に「成」に傾きます

 先月から始めたリケジョブログにお付き合いくださった皆さま、ありがとうございました。来年も興味深い話題を提供したいと考えています。引き続きよろしくお願いします。

今日のひとこと:取りかかる前に頭の中でシミュレーションをしよう