リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】不夜城で過ごす人たち

理系京大生のバレンタイン

 義理チョコを配る人が減ってきたのは、あんまり数を稼げない理系男子学生にとっては嬉しい流れかもしれません。そもそも女子学生が少ないのでチャンスに乏しい今年度は研究室内の学生16人のうち女子学生は2人だけです。そんな環境でも平気で過ごせるたくましい、いい意味で鈍感な女子学生が集まってきます。で、彼女たちはチョコを全員にあげるか全員にあげないか、どっちかですね。私は全員に手作りチョコをバラまく派。「生まれて初めて手作りチョコをもらいました!」という学生もいて、私で申し訳ない(>_<)!という感じであります。

卒論発表は1週間後

 そんなバレンタインのなか、昨日は1時間/人×9人で9時間に及ぶ発表練習をおこないました。ずっと付き合っているこっちの頭がとろけそう。来週が修論、卒論の発表会で、1年または2年間の研究成果を発表する場です。最初の頃は全く議論にならなかった学生が、自信をもって話を展開していく様子を見るのは、感慨深いものがありました。

 が、着々と研究を進められる学生は半分いるかいないか。だいたい年末あたりでお尻に火がついて、ぐっと研究が進むんです。「こういう検討もできたらよかったんですけど、時間が足りなくてできませんでした。」と言う学生に、「時間はいくらでもあった。お前が言う言葉じゃない!」と一喝する教授。白熱してくると激しい言葉が飛びますが、そういう場の雰囲気にも慣れて、反論できるようになった学生は頼もしくもあります。でもやっぱり立証するに十分なデータがとれていなくて、追加実験や分析を自ら申し出る学生が多くいます。発表練習が終わってすぐに実験を始める学生たち、頑張っていますよ。今から1週間は電気が消えることはなさそうです。

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 先週、4月から研究室に配属される現3回生の学生たちの研究室見学会がありました。「この研究室のブラック度は?」と聞く子がいましたね。やる子はやる、やらない子はやらない。能力とやる気に応じたサポート体制がある、それだけです。

門前の小僧、習わぬ研究に詳しくなる

 自分の研究だけでなく、他人の研究についてもゼミで聞いていると、だんだん詳しくなっていきます。また、違う研究分野の人たちからのアドバイスは新鮮で、毎回気付きがあって非常に面白いです。普段は研究テーマごとにグループゼミをおこないますが、1~2か月に1回は研究室全体でのゼミをおこない、活発な議論を交わしながらレベルアップを図っています。文系のゼミとはだいぶ様子が違うでしょうか。研究ディスカッション自体は毎日いつでもどこでもおこなっていますし、休憩時間という概念もありません。夜になると、締め切りに追われて資料を作成したり解析をしたりしている人の横で、じゃらじゃら麻雀の音が聞こえてくる雑然とした日常が繰り広げられています。9時-17時で働いて、昼休みは1時間、という考えでいたらブラックかもしれませんね。

今日のひとこと:成長の場にブラックという概念はない