リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】研究室内チャイナタウン

次年度の構成員決定

 次年度の研究室配属が発表となり、メンバーが確定しました。ポスドク含む教職員が7名、学生が20名の計27名体制で、研究室発足以来最大の在籍者数を記録することになります。メンバーのうち,外国籍の人が7名で、うち5人は中国籍です。多いですね。座席を増やすために、「誰かレイアウト考えて!」とお願いすると、1人の学生がパワーポイントでちゃちゃっと1/100程度の図面を起こして、デスクや本棚、冷蔵庫の配置を描いてくれました。1時間ほどのうちに3案作製して、「どれがいいですか?」と。提案するときは複数提示するという習慣がこんなところにも生きてきて、嬉しい限りです。

 デスクが横に5つ並ぶ通りができ、そこは研究室内チャイナタウンと命名して中国人留学生の座席にすることになりました。チャイナタウンの住民たちは雰囲気を盛り上げてくれることでしょう。

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留学生と外国人研究者の支援

 留学生たちはネットワークをもっていて、住むところの準備や行政上の手続きを意外ときちんとしています。大家さんに鍵を返すことなく次の人が住んでしまって、時々苦情の電話が入るくらいです。研究室内にポツンと1人外国籍の人がいるよりもたくさんいる方が、お互い情報交換をしてくれるのでサポートする方も楽です。

 一方、外国人研究者の場合は、就労ビザの取得から雇用手続きから始まるので、かなり面倒くさいです。給与振込口座が必要なのに、来日してすぐに口座開設ができるのはゆうちょ銀行だけですし、クレジットカードは日本で半年以上の勤務経験がないと審査に落ちます。4月1日付け採用の研究者が3月中に入国すると、たった1日でも3月分の国民年金や健康保険の未加入通知と支払い請求書が届きます。たらい回しの末、支払免除申請をすると払わなくてもいいことがわかるという、ずっと日本にいる私でさえも戸惑う複雑な制度。ほとんど英語表記の書類がないため、多くの書類を代筆することになって、想像以上に支援に時間をとられます。外国人労働者に頼らなければ成り立たない業界もあるわけで、日本のあちこちで担当者がこれだけ面倒なことを引き受けているのだと思うと、改善の余地ありまくりです。

日本人と外国人留学生の違い

 どちらかというと、留学生の方が金銭的に恵まれた状況にあるように感じます。国費留学生か、お金持ちの学生しかやってこないのかもしれません。そして、日本人よりも熱心に研究に取り組みます。中国人留学生はたいてい日本語を話しますし、日本語で話す努力をします。みるみる上達していきますよ。中国へ短期留学していたムスメも、向こうで知り合った学生が流ちょうな日本語を話していたことに驚いて帰ってきました。

 でも優秀な外国人留学生だけじゃないんですよね。留学生枠で入ってくる学生は教育レベルがまちまちで、常識が通じないことはよく起こります。ネジをしっかり締めたと言うところがグラグラで、どうやって締めたのか聞いたら、手締めだったとか。通電したまま、ドライバーを使って装置からケーブルをはずそうとして火がでたとか。熱電対を挿入しないまま温度調節器を使ってヒーター加熱をしたため、周囲の物を焦がしたとか。装置がうまく動かないときは、「壊れている。」とすぐに言うとか。いやいや、日本の機械はそうそう故障しませんから。日本では当たり前のことが、そうではない国があることを知る機会にもなっています。危険と隣り合わせなので、留学生たちのレベルがわかるまでは、実験室をちょこちょこ覗く生活になりそうです。

今日のひとこと:留学生の存在で日本人学生の意識も向上する