リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】体力・気力・努力

成長甚だしい一週間

 昨晩は、修了、卒業する学生たち主催の謝恩会がありました。研究生活を支えてきた教職員は招待です。学生たちはやり切った感で「しんどかったー」と言っていますが、私たちもしんどかったです。最後の最後まで理解が追いついていなくて、「それじゃ説明になってないやろ。」と修正に次ぐ修正。発表が終わって質疑応答の際に、「お、準備してきた質問だ。がんばれ!」と思っていたらとんちんかんな回答をして「あれ?やっぱりわかってなかったかも。」とずっこける、というのも毎年どこかで起こります。学生が理解していないのは、教員側の責任でもありますからね。それでも、発表前1週間のスライドの変遷を見ると、ぐんと理解度が上がって論理構築ができてくることがよくわかります。

卒業生に贈る言葉

 謝恩会では、学生が感謝の気持ちを述べるとともに、教授の先生が卒業生に贈る言葉を述べるのが慣習となっています。今年は、大河ドラマ「いだてん」の主人公、マラソン選手として日本人で初めてオリンピックに出場した金栗四三さんが残した名言からでした。「体力、気力、努力」が大事で、順番を間違えてはいけないと。まずはしっかり食べて体力をつけなさい、次に心が健康でないといい仕事はできない。そして、体力も気力も満ちた状態で頑張りなさい。そういう言葉でした。心が折れそうになった時は、いつでも大学に戻ってきて話をしてくれればいいと。あったかいですね。毎年、贈る言葉を述べる先生は変わるのですが、みんな「いつでも戻ってきたらいい。」と言われます。この先、社会の荒波にのまれてしんどい思いをすることがあるかもしれませんが、心の支えになる一言だと思います。

 実際、結構戻ってくるんです。この時期はリクルーターとして戻ってくる卒業生たちがたくさんいます。そうでなくても、「出張で近くまで来ました。」「帰省中です。」と寄ってくれます。「懐かしい気持ちになりました。また頑張れそうです。」と帰っていく姿をみると、私もまた頑張ろうと思える嬉しい時間です。

研究室に残る人たち

 謝恩会が終わるのを、研究室に残る人たちは待っています。というのは私がいる研究室だけかもしれませんが。メンバーの入れ替わりがあるにもかかわらず、なぜか毎年団結力はぴか一です。解放感にあふれた人たちと過ごす時間もあとわずかで、自分たちの1年後の姿を想像して思いを巡らす時間。昨晩は生ハム、ハモンセラーノ原木!!を準備して待っていました。生ハムの下に散乱する研究資料がいい味をだしています。研究に限らず、奇想天外なことをやってくれる人たちと過ごす時間は、私にとってもいいスパイスです。

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今日のひとこと:努力は最後でいい