リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【中学受験】中学合格がゴールではない

迷子になる子どもたち

 中学受験にかける時間、労力、お金はどれも大きくて、親のエネルギーにいたっては子育て人生の半分くらい費やすのではないでしょうか。一人目の子どもはいいんです、知らないから頑張れる。二人目、三人目となると、知っているだけにいばらの道です。だからこそ、どこでも入れるところではなく、行きたい学校にこだわってもらいたいと思います。

 世間一般が憧れる超難関中学校に入っても、不登校になる子どもがいます。だいたい中学2年生くらいから。高校進級時に自ら去る人もいれば、中学2年生の終わりころに肩を叩かれる人もいます。このまま高校にあがってもしんどい思いをするだけでしょうから、ほかの道に進まれる方がお子様のためではないですかと。超難関校にとってはいわゆるできない子はお荷物なのかもしれません。中学校を卒業して高校に入ると、内部進学組の人数が減っています。ムスメの学校でもムスコの学校でも。オイの学校では、高校にあがると同級生が20人ほど減っていたらしいです。友人の息子さんは学校を変わりました。別の友人の息子さんは学校に行っていません。誰でも知っている超有名私立校。おそらく皆さんが思っている以上になじめない生徒が多いです。

迷子になっても自分探しを続けられる環境

 ムスコも迷子になったうちの一人です。中学に入ったら、勉強をする意味がわからなくなりました。そういう子どもは多分、体の成長よりも心が早熟なのだと思います。やれと言われることを何も考えずにすることができないのです。それがどんな意味をもつのか立ち止まって考えてしまうのです。やったら楽しいだろうか、自分の人生に必要だろうかって。

 さまよい続けましたね、4年間。進級するのに問題なほどではなかったものの、トップくらいで中学入試を突破した(と言われました)生徒がここまで低迷しても見守り続けてくれた学校に感謝です。夏休みの宿題完成率2割程度で登校しても、怒られることもなく気付けば高校2年生。無理にやらせることはせずに、生徒がやる気になるまでひたすら待つ方針。種になりそうなものは、ばらまき続ける。学校は嫌ではなく、皆勤というところが学校の指導方針とあっていた証拠かなと。モヤモヤしつつも、居心地は悪くなかった模様です。

迷路から脱出したきっかけ

 アチェンジしたのは、ブラックホールを撮影したという今年4月のニュース。ほんと、何がきっかけになるかわからないものです。そこから宇宙と物理学関連の書籍を読み漁るという、普通の高校生とは違った方向に進みました。一通り読み終わったら、次は哲学に。倫理の授業で興味を持ち、分析哲学現象学が面白いと図書館で哲学書をMax20冊借りてきました。そして今は世界史と生物。過去の積み重ねで今があり、過去に失敗したことを繰り返さないためにも過去を知らなければならないと言っています。ムスコ曰く、人間の進化を学ぶためには生物も不可欠なんだそうです。進学校でありながら、あんまり勉強勉強と言わないおおらかな学校で、視野が広がった可能性が高いです。

 で、肝心なのかここから。「お母さん、大学受験に間に合わない。浪人しても怒らない?気付くのが遅かった。」と泣きながら昨日訴えてきました。「え、、今から浪人?まだ1年以上あるし、本気で取り組めば間に合うかもよ。」と言ったら、受験を突破するだけのテクニック的な勉強はしたくなくて、周辺の知識も身につけて大学生になりたいと言うのです。だから、どう考えても間に合わないと。勉強の本質的な意義を見つけたムスコ。子どものやりたいことを応援して、学費を払うのが親の役目なので、好きなようにどうぞと言いました。何になりたいかは見つけられていませんが、今何をしたいか、何をしなければいけないかは自ら引き寄せてきました。ここからは強いはず、と信じたい親心。母としては、現役合格の道を探りますよ。一般入試だけではなくAO入試改め総合型選抜試験も視野に、情報収集を進めたいと考えています。

 今は来週開催の京都賞記念講演会に行くのを楽しみにしているようです。英語スピーチだけど、同時通訳があるので高校生でも大丈夫。これが、学校行事ですからね。私立高校素晴らしい。

f:id:gajumarun:20191103112810j:plain

 父親に、誕生日プレゼントは「理系総合のための生命科学第4版~分子・細胞・個体から知る“生命”のしくみ」が欲しいと言っていました。どんな高校生や。。そんなこんなの17歳の誕生日。おめでとう。

今日のひとこと:中学に合格したらあとは学校にお任せですまないこともある