リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】外国人研究者・留学生の受け入れ態勢は伸び代だらけ

これでいいのか、京都大学

 日本語が話せない外国人研究者や留学生も、英語での会話と筆談で日本でほぼ問題なく生活することができます。特にラボの中ではみんな英語を話すので、何か困ったことがあると相談できて安心です。

 地方の行政は外国人には優しくないです。入国管理局はまだ大丈夫。区役所での住民登録や健康保険、年金手続きになると日本語ができないとお手上げ。誰か日本人が一緒についていくことになります。お役所から届く書類も何が書いているのかわからず、「これは何?」と持ってくるので、毎回説明する次第。

 そして、学内の手続き。外国人研究者・留学生も読まなければいけないお知らせにまず英文がついていません。ラボ内の誰かが英語に訳さないといけなくて、あちこちで同じことをやっているのは無駄。事務から留学生への連絡も、ラボ秘書→私→留学生→私→秘書→事務と伝言ゲームをやっているようで、時間も労力も無駄です。みんな英語勉強してきてるでしょ?多少間違っていても通じます。完璧を求めずに直接コミュニケーションとってほしいですね。最近、健康診断でようやく英文案内が見られるようになりました。外国人をじゃんじゃん受け入れている京都大学の実務変革がゆっくりすぎて時差ボケをおこしそうです。

外国人研究者の出張手続き

 日本のパスポートはオールマイティーだなと思います。現在ラボには外国籍の人が7名いて、毎年何名かは日本以外の国に学会発表のために出張します。その際、学会の招聘状、航空券の予約票等を持って、領事館にビザを申請しなければいけないという手間が余分にかかるのです。今月、アメリカ出張に行った研究者は、もちろんアメリカ査証を取得してから出発しました。無事に発表も終わってあとは日本に戻ってくるだけのこの週末。突然ニューヨークからの国際電話に「???」"I'm in trouble. I was refused to get on Korean Air." 話を聞くと、ニューヨークから仁川経由関空便のチケットを持っていて、韓国内でのトランジットに通過査証がいるから乗せられないと言われて困っていました。今さらビザを取得するわけにもいかず、そのチケットは無駄になっていいので、日本直行便のチケットを新たに購入して戻っておいでと指示し、何とか日本には今晩戻ってこれそうです。

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 通行査証もいると誰も気付かず、痛恨のミスです。本人、ラボ同僚、航空券を手配した旅行会社、みんなが経験不足ということでした。こんなときに、大学の組織がちゃんと機能していればと思います。出張手続きの際に、韓国査証もいるよと教えてくれればと。安いチケットを手配したのに、結局とっても高くつきました。

 彼女、かなりの頻度で軽いトラブルに巻き込まれるんですよ。トイレの水が止まらなくなったとか、カードケースを落としたとか。日本人としては、お祓いしてきたら?と思わなくもありません。いや、そのたびごとに相談される私にお祓いが必要なのかも!?

日本へのインターンシップ

 毎年専攻では、日本の会社でインターンシップを経験するドイツ人学生5名を受け入れています。来日している学生が所属する大学では、インターンシップが必須科目になっていて、全員が3ヶ月程度のインターンシップを複数回経験するらしいです。日本に来ているのは、選ばれし学生。渡航費はドイツの奨学金機構が支援し、日本での滞在費16万円は日本学生支援機構(JASSO)が支援。寮と平日の食事は会社支給という恵まれた環境です。JASSOの支援を受けるために、本人はもちろんのこと、私もややこしすぎる申請書や報告書を作成しています。3年任期の2年目。日本の学生もお世話になっていることだし、ムスメも別の機関を使って渡航する気満々だし、まぁ持ちつ持たれつのボランティア精神であと1年頑張ります。

今日のひとこと:草の根国際交流で国家間の隙間を埋める