リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】京都大学の起業支援

京大発ベンチャー支援

 研究成果を社会へ還元するために、京都大学平成26年12月に産業競争力強化法に基づく認定特定研究成果活用支援事業者である京都大学イノベーションキャピタル株式会社(略称:京都iCAP)を設立しました。独創的な研究開発を推進して、その成果を新産業の創生や社会的価値の創出につなげようというものです。大学がシーズ段階から研究成果の実用化や事業化を多角的に支援してくれるって有難いですね。そのなかで大きいのが、経済的支援です。事業化を目指す研究開発に対し、最長1年間、最大300万円の助成を行ってくれるGAPファンドプログラム。もう一つ、ベンチャー企業での研究成果の事業化を目指す経営者候補または経営者と、京都大学の教職員の共同プロジェクトに対して、最長3年間、最大3000万円/年の助成があるインキュベーションプログラムがあります。GAPファンドプログラムは学生も対象です。

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起業家精神あふれる人材の育成

 産学連携本部に、イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門という寄附講座があり、卒業後のキャリアの選択肢の幅を広げることを目的として起業の魅力を伝える教育もおこなっています。これには、単位認定はありませんけれど、無料で起業のいろはを学ぶことができます。

 初級編としては、成功した起業家から、体験談を交えて起業の魅力について講演してもらう「キャリアセミナー@京都」年間5~6回開催されています。

 基礎編には、「起業と事業創造」ベンチャー経営論」があります。起業に必要なファイナンスマーケティング、技術マネジメントなどの経営手法についての基礎的なスキルの習得を目指して、実務経験が豊富な講師が実践的な講義を行ってくれます。

 応用編に相当する「技術イノベーション事業化コース」では、技術シーズの用途開発、市場調査等を行い、ビジネスプランを実際に作成し、起業を体験します。もちろん、起業相談にものってもらえます。なんと手厚いことか。そうそうたる講師陣にして、しかもタダ。

起業の第一歩

 面白そうなので、「起業と事業創造」に参加しています。先日、1回目の講義がありました。今年度の登録者は150人いるそうです。何が良いアイデアで、何が悪いアイデアなのかを考える回でした。
 悪いアイデアは、「最初からよさげに見える」「ニッチすぎる」「欲しいものではなく作れるものを作る」「一言で説明できない」ものです。
 一方、良いアイデアというのは、「人に話すのが恥ずかしい」「一見悪いアイデアに見える」ものです。市場がまだ定義されておらず、他の人が検討していない可能性が高いものに挑戦していかなければならないという話でした。
 5年後に需要に対して供給が圧倒的に不足するもの、一見ばかばかしいアイデアで、他の人がやらないものがポテンシャルが高いと言えます。新しい行動、習慣、価値観をアンテナ張って感じていこうと思える講義でした。

今日のひとこと:目指すべきは課題の質の高さ