リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【大学受験】2019年度京都大学ELCAS受講生募集

背伸びしたい高校生集まれ

 2008年から京都大学が実施している高校生向けの体験型学習講座であるELCASの今年度の申し込みがもうすぐ始まります。もともとは理学部で始まったものが、他の理系学部や文系学部にも広がり、昨年度は東京キャンパス講座も開講しました。意欲ある高校生大募集です。ウェブ申し込みです。

https://www.elcas.kyoto-u.ac.jp/

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応募資格は、2019年4月1日現在、高校1年生または2年生であること。

応募期間は、2019年6月20日(木)から7月4日(木)まで。理系は申込数が320名に達したら受付終了、法学・政治学分野は200名に達したら受付終了です。定員は、理系17分野で計120名、文系の法学・政治学分野が20名、人文社会科学が58名、東京キャンパスが35名です。

参加費は無料で、10月から翌年1月の隔週土曜日15時~18時に開催されます。

試験日程と試験内容

 無事に申し込みが受理されても自動的に参加できるわけではなく、選抜試験があります。理系の試験は8月4日(日)に実施され、数学の筆記試験と講演(2題)の内容要約と感想文の記述が課されます。文系の法学・政治学は、第一次選抜が7月14日(日)に実施され、講演内容に沿った論述試験で30名に絞られます。その後、第二次選抜として8月5日(月)に集団面接試験がおこなわれます。今年度新規開講の人文社会科学は書類審査のみで、作文を提出することになっています。東京キャンパス講座では課題作文が課されます。

 どの講座に参加するにも書き物が必要です。志望動機(400字以内、法学・政治学分野は800~2000字)と、講座によっては「熱中していること」(400字以内)を提出します。長い志望動機を書かなくてもいい文系学部は、代わりにヘビーな課題作文が待っています。以下、募集要項から抜粋です。

①実践!哲学塾(人文社会科学)
 以下のトピックから1つを選び、それについての自分の考えを論じなさい(2,000字)。
 ■自己とはなにか ■心と身体 ■価値と事実 ■科学・技術と社会 ■善とはなにか ■AIと人間 ■社会が個人を作るのか、個人が社会を作るのか ■論理的であるとはどういうことか
メディアリテラシーを学ぼう(人文社会科学)
 今まで見た映画/動画の中で一番心に残っているものは何ですか?何故その映画/動画はそれほど強いインパクトをあなたに与えたのか、理由を説明してください。(1,000字程度)
クリティカルシンキングで考えるビジネス(人文社会科学)
 現代のビジネス、経営の課題だと考えるテーマを次の中から1つ選んで、その状況、原因、対策について検討しなさい。(2,000字以内)
 ■グローバル化 ■イノベーション ■働き方 ■IT・ネット・AIなど

④ミライを創る講座(東京)

 世の中で人々から正しいとされていることで、実は間違っているとあなたが考えていることと、なぜそれが間違っているか説明してください。(400 ~ 800字)

⑤A I 時代のオープンな教育(東京)

 2050年に私たちはどうやって学んでいるか?(1000字以内)

名前と学校、学年を登録して終わりではなく、しっかりと準備をする必要があります。

ELCAS一家の体験談

 ムスメは8期生として参加しました。学校でパンフレットをもらって帰ったのが参加のきっかけです。ちょっと興味ある分野があって参加したものの、「自分にはあっていないかも?」ということがわかったという収穫がありました。それもありですね。担当くださった先生や大学院生から指導を受けながら研究活動に参加し、研究発表のトレーニンを受け、充実した週末を過ごしましたよ。SSH指定校の高校生がたくさん参加していて、遠くは徳島や福井から通ってくる高校生が同じグループにいたそうです。基盤コース(現在のグループ型)終了後は国際コースに応募し、ベトナムに派遣されました。研究としては水質調査活動にちょっと参加したくらいで、あとは現地の大学生や高校生との異文化交流を満喫していました。1週間のベトナム滞在はいい経験だったと喜んで帰ってきました。

 私は受け入れる側で、専修コース(現在の個人型)で参加した高校生のお世話をしました。「うちのラボの4回生よりも優秀なんじゃない?」というくらい、自分の頭でしっかり考えて理解を深めていく生徒さんでした。学会発表もおこなって、大学生に交じって優秀賞をもらっちゃいましたね。東大で航空宇宙工学を学びたいと言っていたので、この春には東大生になって夢の実現に向けて動き始めたことでしょう。

 そして我が家にいる高校2年生。学校からパンフレットをもらって帰ってきました。そして、この子もELCASに応募すると言い出しました。なんと!!このようなプログラムには絶対参加しない子だったのですけど。どこでスイッチが入ったのか謎です。読書感想文で散々苦労した子が、どんな書き物をするのか楽しみです。

今日のひとこと:チャレンジしただけ世界は広がる