リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】史上最大の五月病を迎えないために

帰省中の社会人3年生

 2年前に卒業したメンバーの集まりに呼んでもらいました。どちらかというとムスメムスコに近い年齢の人たちに誘ってもらうのは嬉しい限りです。

f:id:gajumarun:20190505083321j:plain

 売り手市場で就職している彼らは即戦力として期待され、責任のある仕事を任されているようです。採用数が抑えられていたために、30代後半から40代前半の社員が少なく、本来その年代の人たちが支える仕事を若い人たちで回しているのだと思われます。就職氷河期に社会にでたロストジェネレーションと呼ばれる世代が会社の中にいないのは、会社にとってはいびつな年齢構成になるし、社会構造的にも中間層の多くが正規の職に就けていないので問題かもしれません。でも、正規の職だけが正解というわけではないので、ロスジェネ世代が選ばざるを得なかった道もハッピーであればいいなと願うばかりです。

 懐かしい話に花を咲かせた新地の割烹では、なんと若者たちがご馳走してくれました。ご両親もこんなお店に連れていくのか聞いたら、「いや、ラーメンくらいですね。」と。お父さん、お母さん申し訳ない。代わりに私がお腹いっぱい、胸いっぱいの夜でした。

「勉強が全て」にしてはいけない理由

 元気に過ごしている学生、卒業生がいる一方で、残念ながら自分が活躍できる場を見つけられない人が少なからずいます。高校では秀才とか天才とか呼ばれていた賢い人たちが京大生になったとたん、それなりに順位付けがされて普通の人や下手するとできない人になってしまうことがあるわけです。京大生という集団の中にいるとたいしたことがなくて、勉強だけを頑張ってきた人たちにとっては苦痛を伴う場合があるのです。勝手に劣等感を抱いて、自己否定へと傾いていくのです。は?という感じですよね。でも、これが結構深刻で、留年や退学へとつながっています。研究室にも毎年1人や2人は精神的に不安定な学生が配属されて、目が離せないのです。大学に来なくて連絡もつかず、下宿まで様子を見に行くこともあります。心療内科を受診する人もいます。親はそんな状況をわかっているのかどうか。

 勉強だけやっていればいいという教育方針はやめた方がいいです。運動でも芸術でもなんでも手を出してみることが後々役に立つことがあります。気分転換の方法や心の支えになるものをいくつか持っている人が強いですよ。

ストレス耐性強化法

 ストレスを感知し、回避し、あるいは正面突破する能力は経験がものを言います。経験があると容量も増えます。なので、まったく経験がないとポキンと折れてしまいます。

 自分の処理能力を超える前に「これ以上は無理!」宣言をしましょう。量が減らなければ質を落とします。誰かにやってもらうときは期限を設けて依頼です。いつできあがるかわからないのはストレスがたまります。言いたいことは言っておくと、そもそもストレスの原因が減ります。相手には期待しすぎないこと。できる人は、自分と同じクオリティーを求めがちですからね。

 休養と娯楽を上手に使うとストレスは軽減します。気分転換の活動は余念を挟まずに遂行です。私の場合、出歩きます。自分の行きたいところ、やりたいことを自分で計画して実行する、自己完結型ですね。ついてきたい人はどうぞというスタンス。連休初日には、筍を堀りに行きました。子どもたちに経験をというわけでもなく、単に私が掘りたいだけです。50本くらい掘って、知人友人ご近所さんに半分配ってもGW中ずっと筍を食べ続けられる贅沢に幸せを感じています。遊んでいるときは他人に何かしてあげようと思わずに、自分を満たすことに専念するのがあるべき姿。

f:id:gajumarun:20190505083412j:plain

 長かったGWも残りわずか。引きこもりになっている学生がいないことを願いつつ、通常運転に戻していきます。

今日のひとこと:好きなことに没頭する時間を確保する