リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【大学受験】大学共通入学テストの試行調査で明らかになった数学の記述式問題

新たに導入される記述式問題

 2020年度入試から導入される新テストに先立ち、独立行政法人大学入試センターは、2回目の試行調査(プレテスト)を平成30年(2018年)11月10日(土)・11日(日)の日程で高校2年生および3年生を対象に実施しました。自分とは関係のない入試の試行調査に参加してくれた全国1,453校68,409名の高校生たちに感謝です。

 2020年度からは国語と数学で記述式が導入されることが決まっています。2024年度以降は地理歴史・公民や理科分野にも広がる予定です。2018年6月に大学入試センターが発表した「『共通テスト』問題作成の方向性等」によると、国語は20~30字程度、40~50字程度、80~120字程度を記述する問題が1問ずつ出題されることになっています。まぁ、国語は記述式が入っても想定の域を超えることはないでしょう。ただ、国語の記述式は点数ではなく、4段階表示(3問あわせた総合評価は5段階)となることが検討されています。一方、数学では、「数学Ⅰ」の範囲から3問、マーク式問題と混在する形で出題される予定となっていただけで、内容が全然わかりませんでした。それが、今回の試行調査でちょっと明らかになりました。

記述式でだされた問題

 今回の試行調査でだされた記述式の問題と正解はこちら。

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 一つ目は集合、二つ目と三つ目は三角比の問題でした。いずれも、定式化して頑張って解くという問題ではなかったですね。どちらかというと、定義に近い出題です。本番を意識して、5割の正答率を目指して作った問題らしいのですが。正答率の低いこと。それぞれ5.8%、10.8%、3.4%でした。特に難易度を下げるということはなさそうで、本番の問題構成や難易度は2回目の試行調査をベースに作成されるようです。必要があればおこなうとされていた3回目の試行調査は実施されないことになりました。今秋には記述式の答案を集めて、採点作業のみがおこなわれます。

 さて、数学の記述式問題の正答率が非常に低かったのは、難易度が高かったためとは少し考えにくいと個人的には思っています。記述式というわりには書く内容が少なくて、どのように書けば正答となるのか、戸惑ったのかもしれません。あるいは、今回だされた問題は、マーク式の部分でも、文章を読ませるものが多く、70分という時間では足りなかったことが予想されます。選択問題が含まれているとはいえ、問題冊子は30ページあります。単純計算して1ページ2分強で解いていかなければいけません。読むだけでいっぱいいっぱいだった可能性大です。

今後求められる能力

 結局数学にも国語力が必要なのではないかという結論。問題文を何度も読み返しているようでは時間が足りなくなります。文章の流れを頭の中で形にしていく能力。キーワードや重要な数字には線を引き、図なり表なり分かりやすい形にまとめる能力。たくさんの情報を集約していく力が求められているのではないでしょうか。どのようにしてその能力を磨いていくか。本を読むことが一番かなと思います。そして、その本の内容を誰かに話してみるというンプットとアウトプットを繰り返すと効果的ですね。

今日のひとこと:時間が許す限り本を通して知の冒険を