リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【大学受験】大学入学共通テストで導入される民間英語試験

話す・聞く技能も評価対象に

 現在のセンター試験では読む、聞く英語の試験がおこなわれています。2021年春入学、現高校1年生が受ける試験からは話す、聞く試験も加わって「英語4技能」の試験に変わります。これが、大学入学共通テストで一番大きく変わるところです。2年前ルールといって、試験方式が変わるときは2年前までに公表しなければならず、それがこの1月だったために各大学から方針が発表されました。いち早く東京大学では民間の試験の結果は、「出願資格」にとどめることを発表し、他の旧帝大が結構それに追随する形をとりました。旧帝大のうち、出願資格とするのは、東京大学京都大学名古屋大学大阪大学九州大学このうち、絶対に民間試験を受けなければならないのは大阪大学だけです。他の4つの大学は、高校が証明する書類でも可となっています。北海道大学東北大学では、少なくとも2021年の入試では民間英語試験は全く受ける必要がありません。ということは、一次試験は英語抜きということですね。

f:id:gajumarun:20190210231327j:plain

採用された民間試験

 民間試験は何を受ければいいのでしょうか。文部科学省の発表によると、利用可能となっているのは、英検、GTEC、TOEICTOEFLケンブリッジ英検、TEAP、TEAP CBT、IELTSの8種類です。う~ん、私がよく知っているのは前半の4つだけ。ケンブリッジ英検では実用的な問題が出題され、マークシート方式じゃないんですね。世界中で非常に多くの企業や大学、行政機関がケンブリッジ英検を英語力の基準として認定していることを今回知りました。

 さて、一番なじみのある英検。一次試験で「書く」「読む」「聞く」の3技能のテストを実施、一次試験の合格者のみが「話す」技能を評価する二次試験に進める従来型のテストは、1回の試験で英語4技能の全てを評価するという要件を満たしていないため、現在持っている級は評価対象になりません。超英語が苦手なムスコがなんとか取得した準2級が使えないとは残念すぎる!!新たに導入される試験を受けなければなりません。

欧州言語共通参照枠(CEFR)とは何ぞや

 これら8種類の試験は、それぞれの実施団体が独自の基準で問題を作成し、出てくる結果も点数だったり幅をもったレベルだったりするため、比較が難しいです。そこでCEFRの登場です。外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠、Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessmentを略してCEFRと言います。外国語の運用能力を、言語の枠や国境を越えて同一の基準で測ることができる国際的な指標です。それぞれの民間試験の結果をこのCEFRにあてはめて、どのレベルになるかを大学入学共通テストの結果とします。つまり、点数じゃないということです。

 CEFRには、A1、A2、B1、B2、C1、C2の6つの等級があり、Aレベルは「基礎段階の言語使用者」、Bレベルは「自立した言語使用者」、Cレベルは「熟達した言語使用者」です。旧帝大が示した出願資格は全てA2、下から2つ目です。ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる、というレベルです。英検だと準2級、GTECだとCore(840点)がA2 に相当します旧帝大を目指す受験生にとってはだいぶハードルが低いので、全く恐れることはないですよ。

今日のひとこと:旧帝大では民間英語試験の利用は出願資格にとどまる