【大学受験】やる気と熱意がモノを言うAO入試 ~入試システム解説シリーズ5~
AO入試のルーツ
入試システム解説シリーズの最終回はAO入試。ここ10年くらいで浸透してきたものの、名称からはどんな入試なのか全く想像がつきませんよね。2年後には総合型選抜とちょっとマシな名称に変更されます。
AO入試とは、アメリカ発祥のアドミッション・オフィス入試のことで、日本では1990年に慶応義塾大学が取り入れたのが始まりです。アメリカでは、大学の入試担当事務局(アドミッション・オフィス)の選考基準で選抜しますが、日本では大学独自に選抜を行います。自己推薦入試、特色入試、一芸入試等、大学によって呼称は様々です。各大学は、アドミッション・ポリシーといって入学させたい学生像を公表しているので、AO入試を受ける人は事前に要確認です。慶應義塾大学、どんどん時代を先取りして新たな挑戦を始めています。
AO入試の実施率は平成29年度で全大学の73.8%、入学者数は9.1%に止まるものの、年々増えてきています。これまでに国立大学では、京都大学、東北大学、東京工業大学、九州大学等でAO入試が実施されています。
選考の対象となる事例
文科省の定義によると、AO入試とは、詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって、入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に判断する入試でしたね。わかりにくい表現ですが、受験生が高校時代に取り組んできた活動が評価される入試です。国際数学オリンピックや物理チャレンジなどの各種コンテスト、弁論大会で優秀な成績を収めた人、部活動で全国大会に出場した人たちは言わずもがな。ボランティア活動や生徒会活動に精力的に取り組んできた人、簿記や英検などの資格を取得した人もOKです。何か誇れるもの、みんな一つくらいはありますよね。
京都大学の特色入試で合格したのはこんな学生でした。結構ハードル高そうです。多分、この人たちは一般入試でも普通に合格します。
・障害を抱えるがゆえに立ちはだかった数多くの困難を乗り越えてきた経験をもつ人
・数学の切り口や思考法を使って、いろんな学問分野を創造的に融合したい人
どこの大学であっても、求められる人材はこちら。
・論理的に考えを述べることができる人
・主体的に学び、自ら動く行動力がある人
今後も広がるAO入試
出願は8月1日以降、合格発表は2月12日までに行うと決められているだけで、その他の日程は各大学の裁量に任されています。出願から合格発表まで時間がありますが、国公立大学のAO入試では、センター試験を課すところが多いためこのようなスケジュールになっていると思われます。
一般的には、書類審査と面接が行われ、書類の準備に時間を要します。志望理由書や活動報告書、自己推薦書等多くの書き物が求められます。AO入試の倍率は、慶應や早稲田で3~5倍、京都大学で3~9倍、東京工業大学で2~3倍です。合格の可能性が高いとは言い難い入試方法なので、AO入試を受ける人は一般入試を受ける準備もしておかなければならず、受験生にとっては結構負担が大きくなります。それでも、やる気と熱意がある学生を少しでも早く確保したい大学にとっては、なくてはならない選抜方法です。