リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【大学受験】推薦入試なら合格確実な指定校推薦を狙う ~入試システム解説シリーズ4~

推薦入試で進学する受験生

 推薦入試とは、出身高等学校長の推薦に基づき、原則として学力検査を免除し、調査書を主な資料として判定する入試方法でしたね。そう、原則学力検査がないのです。推薦書、調査書だけでは判断が困難な場合は試験の結果が合否判定に用いられることがあります。文部科学省が発表した平成29年度国公立大学入試選抜者の概要によると、推薦入試でセンター試験が課されるところは90大学214学部センター試験が課されないところは137大学335学部です。課されるといっても、1~2教科のところもあって、一般入試に比べると楽勝ですね。推薦入試での入学者数は国立大学で12.2 %、公立大学で24.4 %。私立大学にいたっては40.5%にも及びます。

推薦入試の仕組み

 推薦入試には大きく分けて指定校推薦と公募制推薦の2種類があります。指定校推薦というのは、大学があらかじめ出願できる高校を指定している入試で、在学している高校が指定校になっていなければ出願ができません。指定校推薦では、評定平均値が高くないと出願できず、小論文や面接が課される場合があるものの、ほぼ合格が約束された入試方法です。

 公募推薦制は学校長の推薦があればどの高校の生徒でも出願ができるというものです。ほぼ全ての大学で実施されていて、国立大学は原則公募制です。出願に必要な評定平均値は指定校推薦よりも低い傾向があります。通常、小論文と面接での選考ですが、国立大学ではセンター試験が課されることが多いです。推薦入試で、二次関数もわからない学生が入ってきて驚いたという話をきいたことがあります。一般入試で入ってくる学生とあまりに差があると講義が成り立たないですもんね。センター試験の問題くらいは解けないと困るという大学からのメッセージですよ。

 推薦入試は、合格したら必ず入学する専願が原則で、国公立大学は専願制です。私立大学には併願が可能なところもありますが、指定校推薦の場合は専願です。

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みんな優等生!?

 高校1年生から3年生の1学期までの科目ごとの評定を5段階で点数化した平均値を「評定平均値」と言い、これらをさらに全科目でならした値を「全体の評定平均値」と言います。この全体の評定平均値が調査書の学習成績概評として記載されることになります。これも文部科学省の大学入学者選抜実施要領でちゃんと決められているのです。指定校推薦では、全体の評定平均値が最低でも4以上、上位校では5近くである必要があると言われています。高校3年間が評価対象期間なので、高校に入学してしばらく気を抜いていたらアウトですね。それに音楽や体育など副教科も対象なので、推薦入試は優等生向けに用意されているようなものです。

 とはいうものの。実際のところ、私立大学にとって推薦入試は受験生の青田買いです。少子化が進んで、私立大学の半数が定員割れを起こしている時代に、いかに定員を埋めて生き残るかが非常に重要なのです。担任の先生は調査書上、優等生っぽく仕立て上げてくれますから大丈夫。大学側も一般入試の前に学生を確保しようと、千手観音並みに手を広げて待っているので、どれかにつかまってください。推薦入試が不合格で一般入試に挑むのは正直しんどいです。

今日のひとこと:推薦入試は高校入学時から始まっている