リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【大学受験】大学入学者選抜方法のいろは ~入試システム解説シリーズ1~

大学入学者選抜実施要領

 文部科学省が毎年、大学入学者選抜実施要領の通知をだします。膨大な量の情報を含んだガイドラインで、非常に細かく決まっています。これに基づき、各大学は入学希望者の選抜を行います。大きくは、一般入試と推薦入試、AO入試の3種類です。その他にも、専門学科総合学科卒業生入試、帰国子女入試、社会人入試があります。一般入試は学力重視、推薦入試とAO入試は人物重視というイメージでしょうか。ちゃんと定義されているので確認していきましょう。

1.一般入試

 調査書の内容、学力検査、小論文、面接、集団討論、(中略)その他大学が適当と認める資料により、入学志願者の能力・意欲・適性等を多角的・総合的に評価・判断する入試方法。

2.アドミッション・オフィス入試(AO入試

 詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって、入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に判断する入試。入学志願者自らの意志で出願できる公募制とする。入学願書受付を8月1日以降とする。

3.推薦入試

 出身高等学校長の推薦に基づき、原則として学力検査を免除し、調査書を主な資料として判定する入試方法。入学願書受付を11月1日以降とし、その判定結果を一般入試の試験期日の10日前までに発表する。

AO入試、推薦入試での入学者

 そもそもどのくらい受験生がいて、どの程度大学に進学しているのでしょうか。文部科学省の「学校基本調査報告書」および「国公私立大学入学者選抜実施状況」によると、平成29年度の18歳人口は119.8万人で、大学受験者数は67.9万人(うち現役生は60.8万人)、大学入学者数は63.0万人です。単純に計算すると、18歳人口の50.8%が大学入学を希望し、92.7%の受験生がどこかの大学に入れたことになります。

 このうち、AO入試で入学した学生は国公私立合計で9.1%、推薦入試で入学した学生は35.2%にのぼり、AO入試と推薦入試を合わせると過去最高の44.3%になりました。私立大学に限ると、AO入試と推薦入試での入学者は51.2%と半数を超えます。学力だけによらない選抜方法の多様化が進んでいると言えます。

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選抜実施要領の見直し

 しばしばニュースでも取りあげられていますが、平成32年度入試からはセンター試験に代わって「大学入学共通テスト」を実施することが決まっています。現在高校1年生のムスコの学年からですね。英語4技能を総合的に評価するというところが大きく報道されていますが、他にも変わるところがあります。

 一般入試は一般選抜と名称変更し、筆記試験に加えて「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価対象とすることが推奨されています。AO入試は総合型選抜と名称変更し、各大学が実施する評価方法又は「共通テスト」のうち、少なくともいずれか一つの活用が必須化されます。出願時期は9月以降と今より1ヶ月遅くなります。推薦入試は学校推薦型選抜と名称変更し、各大学が実施する評価方法等又は「共通テスト」のうち、少なくともいずれか一つの活用が必須化されます。AO入試や推薦入試を考えている人には大きな改革です。ないと思っていた学力試験が課されることになると対策が必要です。既に各大学からは選抜方法の変更についてお知らせが発表されています。気になる大学についてはHPで確認しておきましょう。

 この入試システム解説シリーズ、全5回です!

今日のひとこと:推薦入試、AO入試で入学する人が増えている