リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【大学受験】競技かるた新名人に学ぶ集中法

リアルちはやふるの世界

   漫画にも映画にもなった「ちはやふる」のおかげで、競技かるたが大人気です。昨日は滋賀県近江神宮で競技かるたの名人戦、クイーン戦が行われていました。事前申込抽選制で当たった人しか観戦できないため、高校時代から競技かるたを続けているムスメは「当たった~!」と大喜びでした。川崎文義名人に挑戦したのは京都大学かるた会の粂原圭太郎さん。西日本予選を危なげなく勝ち抜いて、東日本代表者との挑戦者決定戦も制し、2年連続の挑戦です。結果は、粂原さんの勝利で初タイトル獲得!!めでたいです。

f:id:gajumarun:20190106082856j:plain

 競技かるたの名人戦、クイーン戦はともに5回戦まで行われ、先に3勝した方が勝ちです。1回の試合に要する時間は約1時間半。自陣と敵陣に並べられた札の位置を15分で覚えることからスタートです。札が読まれる直前の「間」に全神経を集中させるのはもちろんのこと、試合が始まって札が減っていくと二字決まりが一字決まりに変化したり、札の置き場所を相手に変えられたりするため、あらゆる場面で集中力が求められる難しい競技です。

忘却力が必要な競技

  何よりも難しいのは短時間で忘れることだそうです。一生懸命覚えた札の配置を、次の試合ではまっさらの状態で覚え直さなければなりません。それを5回繰り返すと、一度覚えた札の配置とごちゃまぜになることは容易に想像ができますが、忘れることが難しいとは考えたこともありません。忘れ方は人それぞれで、静かに集中する人、席を外して気分転換を図る人、その場で立ち上がる人、競技かるたを見に行くと様々な光景が見られます。それに比べると覚えるのは簡単そうですよね。

集中力の養い方

 さて、新名人粂原さんが勧めている集中法を一部紹介します。やる気がない状態でも、「一秒だけでもやる!」というところから勉強なり仕事をスタートして、少しずつ時間を延ばす作戦。4分間継続することが目標です。アメリカの心理学者レナード・ズーニンが提唱した「初動の4分間」理論に基づくもので、最初の4分間がうまく進むとその後もうまくいくというものです。ここで大事なのは、最初から難しいことをしないこと。勉強であれば、一度勉強したものの復習、単語の確認から始めます。仕事であれば、フォーマットを作るとか取り掛かりやすい仕事から手をつけます。心理学の言葉で、作業興奮」と言い、乗ってきたら一気に進みます。これは第一印象にも通じるものらしいので、初対面の人との会話や講演会では最初の4分間に集中したらいいですね。

 4分間集中が自然と1時間に伸びるとハッピーですが、そうでない場合もあります。その時は15分間集中+5分間今やったばかりのところの復習の20分を1セットにして、たくさんの教科を回すことを推奨しています。途中、水を飲むあるいは冷水で顔を洗うと効果的です。

今日のひとこと:短時間で忘れるより覚える方が簡単