リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【大学受験】大学合格がゴールではない

自由な校風

 進学校は大学受験勉強に特化していると誤解していませんか。外から見ていると、東大合格者数や医学部合格者数のデータでしか判断することができませんが、それぞれ建学の精神があり、特徴のある教育を行っています。駒場や麻布、灘、東大寺、女子学院、神戸女学院には制服がなく、生徒の自主性に任せる部分が非常に大きくなります。これらの学校は校則が厳しいという話も聞きません。髪型も持ち物も自由。何がよくて何が悪いのかを自分で考え、自由には責任が伴うことを十代から実践を積みながら学んでいくのです。これが吉と出るか凶と出るかは子どもの性格によります。放置されると本当に何も勉強しなくなって、授業についていけずドロップアウトしてしまうので。子どもが自由な学校に入った場合は、しばらく注意が必要です。

勉強がすべてではない家庭の教育方針

 洛南や四天王寺は高校から推薦で入ってくるスポーツクラスがあるために文武分担制と言われていますが、中学受験組は文武両道派が主流で、全国大会で活躍する生徒もいます。甲陽学院の美術部のレベルは高いと聞きますし、洛星のオーケストラ部はプロ顔負けの演奏をします。中学から始めたとは思えない腕前で、受験勉強前にバイオリンやフルートを習っていた男の子がこんなにたくさんいるのかと驚きます。勉強だけできればいいと考えている家庭は少なく、バランスのとれた教育方針を垣間見ることができます。

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帳尻合わせのラストスパート

 自由な校風のもと、芸術やスポーツ分野で活躍しながら5年間を過ごしてきた生徒たちは、高校3年生で一気に走り出します。彼らは、10年、20年後の自分が何をしているかを考えて行動しているので、大学入試は通過点でしかありません。洛南の校長先生は、「卒業後15年先の33歳の自分をイメージしなさい。」と言われます。決して勉強しなさいとは言いません。なりたい自分がいて、今何をすべきかを自分で考えるのです。ただ単に勉強している人と比べて、目標がある人の推進力は大きいですよね。勉強をするのもしないのも自由、なぜ勉強をするのかという自問自答を5年間のどこかで行っています。ムスコ、自問自答が終わったかな。そろそろ目覚めることを期待です!

 人によって成長度合いが違うところを、中高6年間で帳尻が合えばいいという方針が一貫教育の魅力です。普通に授業を聞いて、出される課題をやっていれば1年間のラストスパートで間に合います。

今日のひとこと:勉強以外の趣味、特技を極める