リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】自分で考えることができない人は暇を持て余す

京大生の留年率

 大学生って遊んでいるイメージでしょうか。遊んでいる人は進級ができないので、少なくとも理系研究室にはびっくりするような遊び人はいません。最近の大学って国公立でも手厚いですよ。京都大学の場合、1回生にはチューターの先生がつきます。教員一人につき3人ほど学生が割り当てられるのです。何もなければ入学式の日に一回面談するだけで、チューターの先生とは二度と会わずに卒業しますが、出席日数が足りなさそうだったりレポートが連続して未提出だったりすると、事務室からチューターの先生に連絡がきて、「この学生の出席率が悪いので、面談して下さい。」と言われます。で、「講義でていないみたいだけどどうした?」なんてやりとりがなされるわけです。一昔前ならほっとかれた学生は、網ですくわれて引き上げられていきます。ま、網なので引っかからない学生もいるわけで、京都大学では留年する人が約1割、そのうち約1割つまり1%が退学します。完全に遊んでいる人、講義にでないうちについていけなくなる人、大学以外に活動の場を見つけた人がいなくなります。

研究室の年齢構成

 留年率が高いせいで、おかしな年齢構成になることがよくあります。研究室には4回生、修士課程(2年)、博士課程(3年)の学生が在籍していて、本来ならば21歳から27歳までの人たちがいるはずなのですが、妙に貫禄のある4回生が入ってきたり、博士課程の学生は2人にも関わらず25歳以上人口が7人もいたり、部活で先輩だった人が研究室で後輩になったり。研究室の先輩後輩の関係は非常に緩いので、敬語は適当です。同じ釜の飯を食う仲間という感じです。中学生、高校生の厳しい上下関係って何なんでしょうね。

京大生の一日

 普通に進学、進級した学生の一日をヒアリングしてみました。1回生は講義がたくさん入っていて、かなり忙しいです。今は、出席は学生証で管理するので、代返や代筆はききません。ま、学生証をピッとしただけで帰る人もいるみたいですけどね。学生証での管理がない教科も、当日提出の課題がある場合がほとんどです。私が学生だった頃は代返全盛期で、20人しか姿が見えないのに、それはそれはたくさん出席していることになっていましたね。そもそも出席をとる先生は少なかったですし。

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 順調にいけば3回生までに卒業に必要な単位は卒業研究を残して揃います。4回生からは研究室に配属されて、研究開始。完全に受け身だった勉強が、試行錯誤しながら新たなものを作り出す領域に突入するわけです。教員の指導の下、実験方法や解析手法を自分で考えて実行に移すことを日々繰り返します。教科書に書いていないことを見出すのが研究ですからね。さらに「本に書いていることを正しいと思うな。」の世界ですから。言われたことだけをやってきた人には厳しい環境です。

何をしていいのかがわからない → することがない → 来なくなる

という悪循環に陥ります。時々います。早いうちから自分でできることは自分でさせる、考えさせる習慣をつけておかないと、あとで苦労しますよ。

今日のひとこと:過保護もほどほどに