リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】博士課程に進学する留学生たち

旅先で飛び込んできたショッキングなニュース

 シンガポールに到着するなり飛び込んできたニュース。私が絶賛する瀧本哲史さんが47歳で逝去したというのです。私が最後に瀧本さんを見たのは、今から2ヶ月前の6月下旬でした。このとき最初に思ったのは、病的に痩せているということでした。ただ、エネルギーに満ちた誰をも寄せ付けない話を聞くうちに彼の世界に引き込まれ、大丈夫かなという思いはすぐにどこかへ消え去りました。そしてこの訃報。劇的に痩せたとネットで噂になった写真よりも更に痩せていました。既に闘病生活を送っているなか、1人でも多くの人に自分の思いを伝えるために動き続けていたのであろうことを想像すると胸が痛みます。

f:id:gajumarun:20190821222109j:plain

 とんでもなく聡明な人で、他人を馬鹿にするようなものの言い方をするのに、対話をすると決して突き放すことはありませんでした。学生からのどんな質問にも丁寧に答え、アイデア却下の場合は理由を説明して代替案をだしてきます。彼なりに愛情を持って能力ある若者を発掘して育てたいと思っていたのでしょう。まっすぐな人柄に魅せられた若者はたくさんいると思われます。お勧めの書籍、図書館で借りてくるので全然構いませんので一読を。特に高校生から大学生、社会人なりたての若い人に。「僕は君たちに武器を配りたい」「ミライの授業」

夏に行われる大学院入試

 私が所属する専攻では、修士課程の大学院入試が終わり、明日からは博士課程への進学を希望する学生の院試が始まります。研究室にいるメンバーからは3人挑みます。久しぶりの進学希望者です。が、3人とも中国からの留学生。なかなか日本人は進学しませんね。売り手市場ですし、給料や福利厚生も企業で働いている方がいいし、博士号をとってからも就職が保証されているわけではないので、魅力が薄いのかもしれません。どの道を選んでも自己責任で。後悔のない選択を。

研究計画をどれだけ練ったかが問われる

 本日は院試に挑む3人のプレゼン練習をしました。現在やっている研究の紹介と博士課程進学後の研究計画。どうして修士課程の2年間ではできないのか、どこがチャレンジングなのか、何が新しいのか、最終目的は何か、どこの誰が類似研究をしていてその研究との差別化は、等々議論をしました。「聞かれなくてもそのくらい自分で考えてこい。」「そんなの研究じゃなくてただの作業だ。ロボットにさせておけ。」「お前が言っていることは大昔からみんな考えている。」と先生からは激しい言葉が飛んできます。こうやって鍛えられていくのです。なだらかに成長するのではなく、今日はステップ状に成長ですね。堂々と発表してくれることを願いつつ、明日もう一度みんなで議論です。

今日のひとこと:瀧本さんが訴えていた「自らの頭で考えぬく」を実践する