リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】「頭がいい」と「勉強ができる」は違う

京大生は勉強ができる

 京大生、賢いですよ。受験競争を勝ち抜いてきた人たちの集団ですからね。偏微方程式はすらすら解いちゃうし、複雑な化学式を見たらどんな性質があるんだろうと想像を膨らませ、何かが増えたり減ったりしたら数式で表せないか考えるなんて、浮き世離れしています。蓄積してきた知識も豊富で、脳みそってこんなに記憶容量あるんだ!と感心します。

京大生はだいたい頭がいい

 ところがですね、お勉強ができる人が頭がいい人とは限らないのです。質問されたことに対して、正しく答えられない人がかなりの割合でいます。質問は、クローズドクエスチョンかオープンクエスチョンのどちらかです。クローズドクエスチョンはイエスまたはノーで答えるもの、あるいはAかBかどちらかを選択するものです。例えば「今朝は、ご飯を食べてきましたか?」「コーヒーか紅茶かどちらにしますか?」という質問。それに対して、「昨日は食べたんですけどね。」「あ、ケーキも食べたい。」という答え方をしてしまう人、いませんか。教育現場では、「生成物の組成測った?」と聞いて、「論文を調べたら、Siは20%くらい含まれているはずなんですけど。」と返ってくることがしばしばあります。成分は測定していて、予想通りの結果が得られなかったのであろうことは想像がつきますが、答えになっていませんよね。まずは「はい」か「いいえ」で答えなければいけません。オープンクエスチョンの場合。「学会どうだった?」と聞いて、「韓国よかったですよ。」という返答。う~ん、微妙にずれています。残念。

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会話のキャッチボールは正確に

 彼らは賢すぎるのでしょうね。一段飛ばしで会話をしているのです。聞いている方も相手が言わんとしていることを推測して会話が進みます。その結果、推測が間違っていて、見解に相違が生じることがあります。もっと残念。

 頭がいい人は、相手の質問に適切に答えて、相手の理解度によって話し方を変えます。自分の考えを正しく相手に理解してもらって、相手の話も正確に受け取ります。論理的に思考を組み立てて、知識を応用します。優先順位をつけて、効率的に物事を進めます。なんてずらずら書いたらキリがありませんが。当然できていなければならないのは、質問に対して適切に答えることです。そして、それが論理的な思考を培う第一歩となります。

 この記事を読んで下さっている方が子育て中の方であれば、子どもの話を察しよく聞くことをやめましょう。先回りして答えを引き出さないよう気をつけて、最後まで話を聞いてください。自分にあてはめて読んで下さっている方は、答える前に一瞬「これで大丈夫かな?」と考える癖をつけましょう。知識豊富な人より、機転が利く人の方がモテますからね。

今日のひとこと:頭がいい人を目指す