リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】どこまで税金を使っていいのか問題

厚生労働省の統計問題

 失業や育児休業給付のベースになる毎月勤労統計調査は、賃金、労働時間及び雇用の変動を明らかにすることを目的に厚生労働省が実施している調査です。従業員500人以上の事業所について、全数調査すべきところを一部しか調査していなかったことが問題になっています。平均賃金が低く見積もられて、失業給付などが本来よりも少なかったんですね。対象者数が1,973万人、過少給付が約567億円という数字が社会に大きなインパクトを与えたのでしょう。が、計算してみました。対象者数が一番多い雇用保険は、延べ1,900万人で280億円。1人当たりというか1回あたり、1,470円。お金のことなので、きっちり解決しないといけないのは理解しますけど、1人1,470円支払うためにどれだけ税金投入するんだ?と思うと複雑な気持ちになります。労災保険の年金給付(27万人、240億円)は1人当たり88,900円で、こっちは大きい金額でした。

経産省がらみの会計監査

 現在、とある国家プロジェクトの孫請けで共同研究をおこなっており、関係者による監査がありました。研究に必要な実験装置、器具は税金で購入しています。発注から納品、支払いまでの各証拠書類の確認。納品時の検収システム、在庫管理、旅費規程の確認。銀行振り込みで支払い処理がなされているか。購入した実験装置を研究室まで見にお越しいただき、それはそれは細かくチェックが行われました。不正がないよう、確認は必要だと思いますけど、証拠書類を揃えたりチェックしたりするための人件費(=税金)も大きいですよ。

国家予算での購入品

 在庫管理は当然すべきなのですが、今回はちょっと失敗しましたね。装置組み立てにあたり、アングルを使って枠を自作したんです。ボルトとナットがいりますよね。後で棚を追加したくなるかもしれないし、補強が必要になるかもしれないと100個入りセットを購入しちゃったんです。消耗品は全部、在庫管理簿で何個使って何個残っているか、いちいち管理しなくてはいけないことを失念していました。だいぶめんどくさい。次年度も続くプロジェクトなんですけど、3月末で一度締めなくてはいけなくて、在庫ゼロにしてくださいと言われました。そうでした。あーなんとお役所的な。とりあえず、組み立てた枠に飾りでつけておきます。

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 約20年前に文科省の予算で購入した装置があります。中が錆さびで動かず、修理に500万円かかるラマン分光光度計。windows95でしか動かへんし!でも国家予算で購入したので捨てたくても捨てられない。欲しい人はいませんか?と2ヶ月前に全国照会をしました。誰か見ました?引き取り手がなくてようやく廃棄の許可が下りましたとさ。

今日のひとこと:税金は効率よく使いたい