リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【介護】人生100年時代は歯と足を大事に ~足編~

足は第二の心臓

 心臓から運ばれる血液を、心臓の力だけで流すのは負担が大きいために、全身の筋肉を使って血液循環を活性化させる必要があります。特に心臓から遠い足に送られた血液は、重力に逆らって心臓に戻ってこなければならず、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用を使って還流させていることから、「足は第二の心臓」と呼ばれています。運動やマッサージで血液循環をよくし、全身の細胞に新鮮な酸素と十分な栄養を送り届けましょう。

 また母を持ち出しちゃいますが、完全に歩けなくなって3年ほどが経ちます。歩かないと、足がやせ細っていきます。関節の動きが鈍くなります。血行が悪く刺激が少なくなって、脳の働きも悪くなります。当然介護は超重労働です。いいことなんて何一つありません。健康寿命が自分の寿命と一致するように、歩きましょう。

正しい身体の使い方を身につける

 歩けばいいとひとことに言っても、街中を見ていると上手に歩いている人は少なくないですか?O脚だったりX脚だったり、がに股だったり。靴の裏を見てみると一目瞭然です。特定の場所だけ靴底の溝が減っていたら要注意ですよ。そんな状態で何十年も過ごしたら身体が悲鳴をあげるのは当然です。腰が痛い、膝が痛いというのは年齢のせいではなく、単に使い方が悪いだけ。学校で歩き方とか身体の使い方なんか学びませんよね。私もこの年齢で立ち方から学ぶことになろうとは思ってもみませんでした。

 テレビや書籍で知っている人もいるでしょうか。骨ストレッチという全身運動があります。誰でもいつでもどこでもできる簡単な体操。WT(ダブルティー)と呼ぶ基本の立ち方が一番重要で、講習会では重心が収まるべき場所を体に覚えさせます。そのうえで、どこを意識して身体を動かせばいいのかを、体の声を聞きながら体感していきます。講習会は何が面白いかって、上級クラスでは先生が毎回新しいメソッドを思いついて伝授してくれるので、新たな身体感覚を磨いていけるところです。簡単なんですけど、奥が深いのです。私は、骨ストレッチに出会ってから、肩こりがなくなって、内股が改善しました

松村卓『ゆるめる力 骨ストレッチ』驚きのメソッド! - YouTube

 3/15には「寝たままできる骨ストレッチ」という新刊がでます。寝たままなので、楽ちんです。高齢者やずぼらな人には、特にお勧めです。

靴だけで歩き方が変わる

 この骨ストレッチは生徒として参加しているだけではなく、積極的に研究に携わっています。履くだけで基本の立ち方ができて、楽に歩けるWT-LINE®シューズがスポーツケア整体研究所の松村卓先生によって開発されました。これまでデータでは証明されてこなかった効果を検証する目的で、京都大学の教職員や学生、高齢者を対象に実験をおこなってきました。

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昨年暮れに介護老人保健施設で実施した検証実験の動画がこちらです。普段履いている靴とWT-LINE®シューズでの歩行実験をおこないました。

WT-LINE®シューズと普通の靴の比較③ - YouTube

WT-LINE®シューズと普通の靴の比較④ - YouTube

WT-LINE®シューズを履いたときは背筋が伸びて、スタスタ歩くおじいちゃんおばあちゃんに感激しました。この靴を履くと楽に力みなく歩けている様子がわかります。身体が歩き方を思い出したかのようです。

 WT-LINE®シューズの運動靴タイプは既に売っています。ただ、お店では売っていなくて、講習会に参加するか伝でしか買えません。そして、最近革靴タイプが完成して、もうすぐ販売開始です。広く市販される体制になればお知らせします。近い将来、街にWT-LINE®シューズがあふれて、多くの笑顔が見られることを想像しながら、研究を進めていきたいと考えています。

今日のひとこと:死ぬまで自分の足で歩くのが理想