リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【兼業主婦】今日を生きるのに精いっぱいの中学生

中学生になったばかりの男の子の闘病

 昨年中学生になった近所の男の子が、再生不良性貧血で闘病中であることを知りました。血液中の白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する疾病で、罹患率は10万人に1人未満という難病です。様々な治療法を試したものの効果は表れず、いつまでも輸血を続けるのは体への負担が大きいため、完治への道は骨髄移植しか残されていないのだそうです。残念ながら、彼にあったドナーはまだ見つかっていないと聞きました。長期入院を経て、現在は自宅療養中。時々学校に通うという生活をしているとのこと。サッカー選手になりたいという夢を追うことができなくなった、せめて元の生活を取り戻したいという彼の言葉がとんでもなく重たくて切ないです。

骨髄バンクが必要な理由

 定期的に献血はしているものの、骨髄バンクのことはよく知らない私。調べてみました。

骨髄移植や末梢血幹細胞移植は、白血病再生不良性貧血などの病気によって、 正常な造血が行われなくなってしまった患者の造血幹細胞を、 健康な人の造血幹細胞と入れ替えることにより造血機能を回復させる治療法、だそうです。2019年12月末で、骨髄バンクのドナー登録者は52万7,221人、患者登録数は1,955人です。2019年に実施された骨髄移植は1,243件。移植には、HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原) 型の A 座・B 座・DR 座等の 6 抗原のうち 5 抗原以上が一致あるいは非常に類似しなければならず、適合者を見つけるのには困難が伴います。兄弟姉妹間では3割の確率で一致するものの、遺伝子を半分ずつもらうため親子で一致するのは稀で、非血縁者になると数百から数万分の一の確率でしか一致しないと言われています。希望者全員が骨髄の移植を受けられる状況にはなく、多くの登録者が望まれます。

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命のボランティアは慎重に

 骨髄バンクへの登録は簡単です。

・骨髄・末梢血幹細胞の提供の内容を十分に理解している方
・年齢が18歳以上、54歳以下で健康な方
・体重が男性45kg以上/女性40kg以上の方

であれば登録ができます。本当に大変なのは、適合者となって、骨髄移植や末梢血幹細胞移植をするとき。事前検査に加えて、3泊4日ほどの入院が必要で、家族の同意(必須)や職場の理解が必要です。100%安全とは言えない全身麻酔をしたうえで他人に体の一部を提供することに躊躇する人がいても不思議ではありません。競泳の池江璃花子さんが白血病であることを公表して、ドナー登録が増えたそうですが、いざ適合者だと連絡が入ると移植を断るケースが少なからず起きているとのニュースがありました。適合者が見つかったと喜んだ患者さんが、提供を断られたら必要以上に落胆するのは容易に想像ができます。命のボランティアは登録時によく考えて。熟考の上での登録者が増えるといいなと。私は、次回献血時に登録してこようと思っています。

 骨髄バンクはさておき。今日明日を必死で生きている子どもがいることを知って、できることをできる範囲で行動に移してみませんか。まずは、平和ボケしている自分の子どもに渇を入れてみますか?寄付してみるのもよし、ボランティア活動に参加してみるのもよし。世の中、捨てたもんじゃないと若い世代に伝えたいですよね。

 先週成人式を終えたムスメ。ヘアドネーションのために伸ばしていた髪をバッサリと切って、あとは送るだけです。メディカルウィッグ用の髪の毛を寄付するという形での社会貢献。そうそう、できることからやっていきましょう。

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今日のひとこと:他人のために提供できるものを探す