リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】ウイルスの脅威を知るととるべき行動がわかる

オンライン授業でほったらかし状態の解消希望

 引きこもりの生活を続けて1ヶ月以上たった子どもたち、大丈夫でしょうか。ムスコは終業式のために一回外出しただけで、一歩も外に出ない本当に自宅引きこもりを続けています。YouTubeTwitter、ゲームに時間を奪われ、勉強と言えるものは1日1時間くらい。多分。でもね、もう言うことはもう聞かないんですよ、高校生は。アホが生産されたらスミマセン。有り余る時間を有効に使える子どもと、ボケーっと過ごす子どもとで格差が広がりそうです。困窮世帯への給付も大事ですけど、将来を支える子どもたちの教育がおろそかになっている現状はいただけません。休校中にオンライン教育の土台を作ってくれているといいのですが。

 私立学校はオンライン授業が進んでいるところもあって、普段からタブレットを使って授業をしている学校では、スムーズに自宅で授業が受けられています。本の学校、私の母校の話です。先月一斉休校が始まったときから、朝の出欠をとってこれまで通りに授業をしているそうです。

 自宅にパソコン、通信環境が整っている家は自宅で。ない家庭は登校許可という形ででもスタートしてもらいたいものです。

急ピッチで整えるオンライン講義

 日本の大学はオンライン化が遅れています。が、ここにきてそうは言ってられないと対応が進められているところです。京都大学では、連休明けの講義開始となりましたが、一部専門科目は今月から講義が始まります。対面講義は禁止で、オンラインのみ。テストも兼ねて、zoomでオンライン講義を始める科目が少なからずあります。何度か練習を済ませ、移行できそうな感じではあります。セキュリティーにやや問題がありそうで、対策が急がれます。

 ラボ内のゼミもオンラインゼミになるのではないかと思います。というか、そうします。一人一人が危機感をもって、ウイルスをもらわないこと、うつさないことを徹底しないと終息に向かいませんから。学生が実験をするのにスタッフ不在というわけにはいかないのでテレワークにはならないですけど、実験日時は予約制にしてラボ内に滞在する学生の人数、時間は減らせるだけ減らしていこうと思います。

ウイルスの脅威

 歴史は繰り返すのですね。20世紀以降に流行ったインフルエンザで強力なものは、1918年のスペイン風邪、1957年のアジア風邪、1968年の香港風邪です。そのなかでも、史上最悪といわれたのがスペイン風邪で、5億人が罹患して2000万人~5000万人が死亡したと言われています。スペインで始まったものではなく、戦時下で情報統制をしなかったスペインで感染者、死亡者が公になったためにスペイン風邪と不名誉な名称がつけられた模様です。戦争ではなく、インフルエンザで自国の兵士がバタバタと倒れている状況を他の国に知られてはいけないとほとんどの国では隠蔽していたみたいです。さて、そのスペイン風邪は、第一波、第二波、第三波と数回にわたって流行しました。注視すべき点は、第二波以降ではウイルスの毒性が強くなり、10代~30代の若者の死亡率の方が高齢者よりも高かったということです。統計では、若者の致死率は20%を超えています。戦争があって、若者たちが劣悪な環境にいたという状況を差し引いても高いと思わざるを得ません。若者の致死率が高かった理由については、現在でもわかっておらず、感染症に対する免疫応答能力が高いために炎症性サイトカインが異常分泌されたのではないかとも言われています、いずれにせよ、スペイン風邪は若者中心に大ダメージを与えました。

 新型コロナウイルスは、まだ第一波かもしれません。医療崩壊を招いてはいけません。感染者を平坦化して病院のベッドが満床にならないようにすること、ワクチン開発までの時間を稼ぐことが一般人の使命です。他人とは距離を保ち、手洗いうがい消毒を徹底することを若者に浸透させることに微力ながら貢献したいと思う週末でありました。

今日のひとこと:一人一人の行動がウイルスを無力化する