リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【兼業主婦】相続登記を自分でやってみる

不動産の登記制度

 自分自身では不動産をもっていなくても、ご両親は不動産を所有している人が多数派だと思います。不動産登記簿を見たことがありますか?不動産登記は、土地や建物に関する権利関係を記録しているもので、行政上の制度です。土地や建物がどこにあるのか、どれだけの広さがあるのか(表題部)、所有者は誰なのか(権利部(甲区))、担保が設定されているかどうか(権利部(乙区))ということが、登記簿からわかります。法務局がこれらの権利関係を証明してくれるため、安心して不動産の取引をすることができます。

 所有者が変われば名義変更、不動産を担保にした借金の返済が終われば抵当権抹消をおこなっていれば、現在の権利関係が正しく表示されます。

実際の権利関係とは違う場合

 私の場合、実家は父の名義のままほったらかしでした。父が亡くなったあとは、潜在的に母が1/2、弟と私が各1/4で相続した、ことになっています。が、いつまでに登記をしなければならないという規則はないために、代表相続人が固定資産税を支払っている限りは何も言われません。父の死亡後は母が代表相続人。そして母も死亡した後は私が代表相続人。市役所(区役所)から代表相続人を誰にしますかという問い合わせが郵便でやってきて、返送するだけで手続きは終わりです。あとは、春になったら届く固定資産税の請求通りに税金を納めればOK。

 しばらく所有する分には、特に不都合は起こりません。ところが、何度も相続があると権利関係が複雑になっていきます。所有者が増えてくると戸籍で権利関係を証明するのも、住民票等の書類を集めるのもめんどくさくなってきます。連絡が取れない人がでてくるとお手上げですね。なので、権利関係が複雑にならないうちに登記をしておくのが無難です。権利関係が実際と違うと、取引ができませんし。

相続登記は自分でできる

 不動産の登記は司法書士の仕事だと思っていませんか?不動産登記ってどんな仕組みなのだろうかとちょっと勉強したことがあって、このくらい自分でできそうと思ったのが今回自分で登記をするきっかけとなりました。実際、自分でできました。

 相続を原因とする所有権移転登記をするのです。父死亡→母死亡と2回相続が入りましたが、遺産分割協議書を作成することによって父の死亡日にさかのぼって私の単独所有とすることができます。母は相続人かつ被相続人であり、母の相続人でもある弟と私の2人で父所有の不動産を私が単独で相続するという遺産分割協議をすればいいのです。遺産独り占めではなく、今後の売却を考えて共有にはしなかっただけです。売ったあとに分けます。

 相続を原因とする所有権移転登記申請書に添付するのは、登記済証または登記識別情報(いわゆる権利証)、戸籍謄本(被相続人の出生から死亡まで証明するものと相続人を特定するに足りるもの。結構たくさんになります。)、被相続人の住所を証する書類(住民票の除票か戸籍の附票。住民票の除票は一定年数経つととれないことがあります。)、相続人全員の住民票です。所有者にならない相続人の住民票は不要。遺言があれば遺言書、遺産分割協議をしたら遺産分割協議書と印鑑証明書を追加。それから固定資産評価証明書がいります。登録免許税の計算基準となる評価額は、固定資産台帳に載っているもので、固定資産税の通知書に載っている評価額とは違うので、注意が必要です。固定資産評価証明書も市役所(区役所)で取得できます。法務局の相談窓口に必要な書類を揃えて持っていくと、原本還付を希望する書類はコピーを取ってくれて、申請窓口にそのまま持っていけるように書類を整えてくれます。登録免許税の計算もあっているか確認してくれますよ。自分でできそうでしょ?

f:id:gajumarun:20190909192100j:plain

 相続を原因とする所有権移転で納めなければならない登録免許税は、不動産評価額の0.4%です。今回支払った税金は49,800円、戸籍等を集めるのに要した費用は9,100円+切手代でした。除籍謄本や改正原戸籍が1通750円と高いのです。

 司法書士に依頼すると、報酬が10万円ほど余分にかかります。ちょっとした手間をお金で買うのもいいですけど、経験値アップのために自分でやってみるのも悪くないですよ。

今日のひとこと:理系文系問わない幅広い知識が役に立つ