リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【中学受験】効率よく私立中学の研究ができるイベント

情報収集のための合同相談会

 本日は、東京国際フォーラムで「東京私立中学合同相談会」が、大阪のハービスホールで「難関私立中高進学相談会」が開催されました。東京で参加した友人が会場前の写真を送ってくれましたが、すごい人ですね。熱気を感じました。この相談会は手っ取り早く学校のパンフレットを集めるのに便利です。ネットで検索できるにしても、意外とアナログな紙媒体のものは重宝しますよ。パンフレットで集めたなかから、めぼしいところを探して絞っていくといいと思います。

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 アンケートに答えると、学校の情報が送られてくるようになるところもあります。勝手に送ってきてくれるのは楽です。だいたい塾も絡んでくるので、会場では受験ガイドや出題傾向リサーチももらえますし、一度は足を運んでみるといいかもしれませんね。

個別相談会

 集団相談会では、学校別に小さな会場で30分程度説明会をします。人気がある学校は、このような形で人数をさばかないと、全員に回ってきませんもん。

 それぞれの学校がブースを設けている個別相談会もあります。学校の先生が2~3人来られていて、一組10分程度で相談に乗ってくれます。親子で参加される方は3割くらいいる印象でしょうか。並んで待つ場合と、整理券を配っている場合とがあります。整理券を配っているところは先にもらっておきましょう。広いとはいえ、あまり長く待つのは退屈です。私は大阪の会場を覗きに行きましたが、こっちも盛況でしたね。

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私立中学高校が大事にしているもの

 関西のエリート校の校長先生がどんなことを考えて教育に携わっているのかに興味があり参加してきました。「名門校における100年の『人』づくり」というテーマで講演とパネルディスカッションがあり、300人ほどが入るホールは満員御礼です。甲陽学院の今西先生、東大寺学園の森先生、灘の和田先生の3名が登壇されました。それぞれユニークでしたね。

 まずは甲陽学院から。教養豊かで自律できる人を育てられています。教養豊かというのは、知識豊富なことではなく、物事の本質を見極めることができること、周囲がみんな走っているときに立ち止まって考えることができることだそうです。時代の要請に過度に適応しないと宣言されているところが好印象でした。自然界で一番生命力が強いのはジャングルです。人も一緒で、同じような人間を育ててはいけない、当面役に立ちそうにない変人もいてほしいという教育方針のもと、多様な人材育成に力を入れています。

 続いて東大寺学園。先生と生徒の垣根をなくし、生徒をひとりの人格として扱うことを大事にされています。若いうちに無駄なエネルギーを使って、いろいろ体験して欲しいと。生徒の投票で修学旅行先が決まるというシステムが面白いですね。ラトビアリトアニアに行ったとか、小笠原諸島に行ったとか、よく思いつきますよね、そんなところ。数年前にベトナムに行ったときは、多くの生徒がお腹をこわして大変だったそうですよ。中高6年間で自分探しをさせて、進路は自分で見つけることが目標だとおっしゃっていました。

 最後に灘。真のグローバリストを育てなければならないと。異文化コミュニケーション能力、多様な人と協働して課題解決ができる力が求められるようになると考えておられます。生徒が主体になる教育に力を入れていて、予習や調べ学習が中心です。また、教員の自由も保障されていて、授業内容は普通の学校とはだいぶ違いそうです。本1冊でどこまでも学習内容を深めていけそうな教育をされています。自己肯定感も大事だけど、自分を批判的な目で見つめることも大事だと両面から自分を見つめることを説いています。

 特に伝統のある私立の学校は、建学の精神がしっかりしていて、ぶれることがない基礎があってはじめて、時代の変化に対応できる人材が育つのだと自信をもっておられます。入試制度が変わろうと教育は何も変わらないと3名ともおっしゃっていました。

 自由をうまく使える子どもなのか、管理型の学校の方が伸びるタイプなのか。学校選びは保護者の責任なので、しっかり学校研究をして受験に臨んで欲しいとのメッセージでした。

今日のひとこと:時間節約のためには合同説明会の利用もあり