【大学受験】コペル君を通して疑似体験してみる
色あせない名書
吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」をムスコ自ら手にしていました。「漫画君たちはどう生きるか」は2018年の年間ランキング一位に輝いていて、公式HPでは200万部突破とあります。文科省の統計によると、平成29年度の中学校の生徒数は333万人、高校の生徒数は328万人です。日本の中高生の3人に1人が手にしたと考えると、すごいです。ところが、中高生の3人に1人が読んでいる計算になるというのは間違いで、実際は大人が買っているようです。漫画家の羽賀翔一さんが手がけたことによって身近なものへと変貌しましたね。
https://s.magazineworld.jp/books/kimitachi/
生き方を自ら考えるきっかけ
この本、もともとは1937年(昭和12年)に発行された児童文学で、何度か語彙を修正して出版が重ねられ、一番新しいものはマガジンハウスから2017年に出版されています。私が受け取ったテーマとしては、「学問」「人間関係」「貧困」「偉大さ」「過ち」の5つですが、人によっては感じ方が違うかもしれません。日常生活で起こる事件を通して、人生とは何か、自分があるべき姿を考えるきっかけを与えてくれます。
教えるのが難しいものは、本で学んでもらうに限ります。人生についてアドバイスしてくれる近所の叔父さんなんていない人の方が多いですし、漫画は手っ取り早いです。
人生の大問題に中学生が挑む
簡単に中身を紹介すると。主人公のコペル君は中学2年生で、様々な問題にぶち当たるコペル君にかける叔父さんの言葉が非常に重いのです。「肝心なことは、(中略)人間の立派さがどこにあるか、それを本当に君の魂で知ることだ。」と。級友の浦川君は、家業を手伝って油揚げを作っています。一方、同級生のコペル君たちは消費生活です。貧しい浦川君をからかう事件では、叔父さんは「生産する人は消費するだけの人よりも立派だ」と説きます。でも、消費者にしか見えないコペル君も自分では気付かないうちに大きなものを日々生み出しているというのです。何を生み出しているのかは書かれておらず、読者が一人ひとり考えなければなりません。
「自分の一生をしょって生きてゆくということに、どれだけの意味があるのか、どれだけの値打ちがあるのか(中略)は自分で見つけてゆかなくてはならない」という言葉が本当に心に届くのは大人になってからかもしれません。それでも、中高生の間にこの書籍に接することには大きな意味があると思います。
地元の図書館で検索すると、原作はそんなに待たずに回ってきそうです。漫画は所蔵数の20倍の予約が入っているので、一人2週間借りるとすると単純に計算して10ヶ月待ちですね。年内に読むのは厳しそうです。そっか、だからムスコは原作を読んでいたわけだ。