リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【大学受験】新しい世の中を作ることができる人材

ロボットが活躍する未来社

 昨日、ロボット研究社の石黒浩先生の講演会に参加する機会がありました。米朝師匠やマツコ・デラックスのアンドロイドを作っている先生ね。ご自身がアンドロイドみたいな風貌です。今から8年前、まだ小学生だったムスメとムスコは石黒先生と対談する機会があり、ジェミノイドと並んでいるとどっちがロボットかわからないくらいだったと言っていたのが、ますます磨きがかかったような。石黒先生は、一番わからないのは人間なので、人型ロボットであるアンドロイドを通じて、人間を知る研究をされています。f:id:gajumarun:20190325090847j:plain

 ロボットとは言えないまでも、最近は家電がしゃべるようになってきて、「ごはんが炊けました。」とか「熱いお湯が出ます。」と教えてくれます。単に数字が表示されているだけよりはしゃべってもらった方が理解しやすいですよね。親しみやすい特徴をもつ人型ロボットの長所が、日常生活に入り込んできています。全く人の形をしていないのに、しゃべらそうと考えた人たちに拍手です。

求められる人材

 日本では高齢化社会が進んでいて、介護や年金問題に直面しています。内閣府が発表した将来推計人口では、この先人口は減りますけど、高齢者の割合はまだ増えていきます。医療が進んで、ガンでは死ななくなるのでしょう。f:id:gajumarun:20190325091008j:plain

 労働力が確実に不足するので、ロボットがサービスを提供しなければならない社会がやってきます。ロボットが受け付けをするホテルは珍しくなくなると思われます。セルフのガソリンスタンドやスーパーのセルフレジが普及してきて、サービス業から変化が訪れてきています。

f:id:gajumarun:20190325091028j:plain

 ロボットは際限なく物事を覚えて、分析するのは得意です。六法全書を覚えるのは、人間よりもコンピューターの方が得意です。ガンの診断はロボットがしている病院もあります。となると、既に余っていると言われる弁護士に加えて、医者も余ってくるかもしれません。

 覚えるだけの勉強はもはや通じなくなります。英語なんか話せなくても、そのうち翻訳機が代行してくれるようになります。ロボットに置き換えることのできない思考力、想像力、創造力を意識した教育が求められます。そして、その必要性を自ら認識できる人材にならないといけない時代です。

未来は自分で作るもの

 世の中には、社会を変えていく人と、社会の中で役割をもらう人の2種類の人たちがいます。社会を変えていくためには、勉強ができることは必ずしも必要でありません。勉強は、過去の人たちの教えを学ぶということで、最低限知っておいた方がいい面はもちろんあります。でも、社会を変えていくためには、新しいことをしないといけませんよね。教科書や参考書には書いていないことをしなければならないと、理解する必要があります。それを、中学生、高校生のうちに知ることは早くはないです。若いうちに知って、どのように形にしていくかを考えればいいのです。自分たちで社会を変える、未来を作るという意識で私自身は人生を全うしたいし、私の周りにいる人たちにもそうなってもらいたいと思っています。

 石黒先生は、人の命に価値はあるかという哲学的な話をされました。命そのものに絶対的な価値はないというのが石黒先生の考え。「例えば、ボクが今研究を辞めて、何もせずにぐーたらな生活を始めたらどうですか?日本の社会にはセーフティネットがあるので、食べてはいけるかもしれない。でもね、価値があるから食べさせてくれるわけじゃないでしょ。」と。言いたいことはよくわかります。それぞれ社会に貢献できる能力があって、能力を使って初めて価値が認められます。「自分の価値を探すことが人生だ。価値を探すことをやめたらゼロになってしまう。それが生きるということだ。」という熱いメッセージを残して、講演を終了されました。

今日のひとこと:ロボットにできない体験が人を豊かにする