リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【京大理系研究室】仕事率を表す馬力という単位

未だに愛される馬力表示

 ブログが更新できていない間、フェラーリに試乗してきました。面白かったですよ。アンケートにお持ちの交通手段を問う欄があって、選択肢に並んでいたのはヘリコプター、ヨット、ジェット機、モーターボートの4つ。その他という項目すらなく、全くお呼びでないですね。

 私はポルトフィーノという、美しいフォルムのオープンカーを運転。まさか自分で運転する機会が訪れようとは!!このような車には金髪の王子様が乗って迎えに来てくれるものだと思っていました。小回りが利くので、タウンユースなんですって。あーびっくり。同僚が乗ったのは、812スーパーファストという車種で、800馬力だそうです。車の時代になっても馬力がずっと使われ続けているのが面白いです。

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馬力ってなんだ?

 標準的な荷役馬1頭の仕事率を1馬力といいます。継続的に荷を引っ張っているときの仕事率で、人間様も最大出力では1馬力くらいでるそうです。仕事率というのは、短時間内にどれだけ仕事が行われるかを示す物理量で、クルマでは、エンジンで発生したエネルギーを使って、どれだけ短い時間で移動できるかを測る尺度です。先ほど登場のフェラーリさん、エンジンをかけたとたんにブォーンとものすごい音をあげていました。これがお馬さん何百頭分のエネルギーに相当するのだと思うとクルマ音痴でも興奮します。馬力は、イギリスのジェームズ・ワットが考案した言葉です。蒸気機関に改良を加えた技術者で、工場の動力や機関車として使われる道を作りました。彼の功績をたたえて仕事率の単位にワット(W)が使われています。

 1馬力は、75kgの物を1秒で1m動かす力です。馬の力を意味するHorse Power(HP)はイギリスで、Pferde Starke(PS)はドイツや日本で使われます。というわけで、フォードやジャガーではHP が、ベンツやBMWではPSが使われています。フェラーリアルファロメオはイタリアの会社なので、馬と蒸気を意味するCavallo Vapore(CV)が使われます。それぞれの単位で微妙に換算が違うのですが、HPもPSもCVも馬力です。日本でも使われる仏馬力の1PSが 735.5 Wに相当します。

ワットってなんだ?

 今はSI単位が国際基準なので、仕様書には最高出力100 kWというふうに記載されています。でも、クルマの営業さんは馬力で言った方がわかりやすいと今も馬力基準で話されます。さっきの、1馬力=735.5 Wを逆にすると、1 kW=1.36馬力なので、kWで表記されていたら4割増しくらいの馬力と思っておけばイメージしやすいかもしれません。

 他にも基準となるワット数を知っておくと、身近に感じられます。一般的なコンセントで流せる電流は、15 A(アンペア)で、家庭用の電圧は100 V(ボルト)です。電力(W)=電流(A)×電圧(V)なので、15 A × 100 V で 1500 Wとなります。2馬力くらいですね。家庭で使う電化製品のうち消費電力が高いものは、電子レンジ(1300 W)、アイロン(1200 W)、掃除機(1000 W)、ドライヤー(1200 W)。これらはたこ足配線ダメですよ。コンセントから直接電源をとってください。

 電動アシスト自転車は300 W、エネファームの出力が200~700 W。たいしたことないですね。

 日産のリーフが160 kW、トヨタプリウスが56 kW、トヨタハリアーが170 kWです。スポーツカーの出力はやっぱり大きいみたいです。

 ちなみに。中型ヘリコプターは3000馬力、ジェット機は数万馬力だそうです。個人所有の移動手段としては、一生お呼びでないと思われます。

今日のひとこと:身近な製品の仕事率を知ってみる