リケジョ的教育のすすめ

京都大学工学部で学び、現在は京都大学で働く正真正銘のリケジョ。中学受験と大学受験を経験した子どもたち、一緒に研究をしている学生から得た教育の極意を伝授します。

【大学受験】高校生のプレゼン能力

人前で話す機会

 今は小学生から人前で発表する機会がたくさんあります。終わりの会で1分間スピーチをやっているのは普通ですし、授業参観にでても先生が授業をしているだけではなく、子どもたちが発表する風景が見られます。私たちが子どもの頃と比べて、格段に堂々と人前で話している子どもたちを見ると、頼もしく思えます。そんな子どもたちが高校生になり、学内だけではなく学外で発表しようというのは自然な流れで、高校生が発表する場を提供する学会が増えています。日本分子生物学会、日本化学会、化学工学会、日本物理学会、日本植物生理学会、日本生態学会、日本魚類学会、日本森林学会、日本セラミックス協会などなど。いろんな学会がありますね。無限の可能性を秘める高校生にアピールしたい学会としては、だいたいどこでも高校生の参加費は無料です。お弁当が支給されて旅費の補助が出るところもあります。

外部発表する高校生

 昨日はそんな高校生を見る機会がありました。大学学部生、高専生、高校生たちの研究発表会です。学部生、高専生は一人で、高校生は複数人で発表というのがよく見るパターンです。大学生、高専生は専門的なことを、高校生は身近な題材を研究対象にしていることが多いように感じます。今年は100名ほどの高校生が参加していて、研究テーマは「サクラの葉による発芽・成長抑制」「家庭用電子レンジでは純水は塩水よりも素早く温まる」「醤油粕を使い捨てカイロへ利用するための発熱試験」といった感じでした。これが、4年経つと「カルボン酸の水素化反応に用いるSnPt二元系ナノ粒子のSiO2上への固定化」とか「酸化銅を用いた水素の迅速処理における気固反応モデルの構築」のように変わります。高校生と大学生ではタイトルだけでも雰囲気が違いますし、中身の密度も違います。スライドの完成度も全然違います。それも、高校での基礎があっての成長です。高校生たち、緊張の面持ちながらも質疑応答まで立派に対応していました。

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学校の授業でディベート

 プレゼンだけではなく、ディベートも学校教育の中で行われています。ムスコの高校では、現代国語の時間にディベートをするようです。「未成年者がスマホを持つ是非」「授業で古典を学ぶべきか否か」「選挙権を行使しない人に罰金を科すか」等の内容で、賛成派、反対派、ジャッジに分かれて議論が進みます。先日、1チーム7名程度の構成で、1チーム2戦で勝負が行われたそうです。立論、反対尋問、最終弁論という流れで進み、論理の矛盾がなく主張が一貫していると判断された方が勝ちです。チームメンバーもディベートテーマも賛成派反対派の指定も全てランダムに先生が決める方式。考え方が違うメンバーが一緒になって、自分の主張とは相容れないものがあるかもしれないなかでの共同作業は力になりそうだと私の学校愛が深まりました。2戦連勝のムスコは涼しい顔で勝利の余韻に浸っていたのが、これまた頼もしい瞬間でした。 

今日のひとこと:千里の道は3歩飛ばしの現代っ子